村合宿マガジン / なぜ、村で合宿なのか
思いのこと

なぜ、村で合宿なのか——合宿が、村の糧になる話

二〇二六年七月一七日 | 文・山田拓実(村合宿コンシェルジュ)

小菅村のことを話すとき、私はいつも順番に迷います。良い話から始めるべきか、厳しい話から始めるべきか。

良い話なら、いくらでもあります。多摩川の最初の一滴が生まれる村で、東京の水道はここから始まること。村の醸造所がその源流の水でビールを仕込んでいること。民宿の夕餉はその日の山のもので、囲炉裏の火を囲むと、初対面でも話が終わらないこと。森は村の面積の九割五分。人は、驚くほどよそ者にやさしい。

多摩川源流の渓谷
多摩川源流(写真は仮素材。実写に差し替え予定)

村の現在地

いっぽうで、日本の中山間の村々はいま、どこも人口減少という大きな流れの中にあります。人口六二〇人の小菅村も、その例外ではありません。自然も、人も、食も豊かなのに、それだけでは暮らしを続けにくい——多くの村が向き合っている、静かな課題です。

そんな中でこの村は、驚くほど手を打ち続けてきました。村営の施設を会社にして、閉じた分校を大学の校舎として蘇らせ、日本で最初のドローン配送を飛ばし、親子の移住を呼び込んで小学校に子どもの声を響かせている。小さな村の挑戦としては、全国でも指折りだと思います。この挑戦の隣に、企業ができることがあるはずだ——それが、村合宿の出発点です。

観光でも、寄付でもない、三つ目の道

村にお金が届く方法は、これまで大きく二つでした。観光と、寄付です。どちらも大切ですが、観光は週末に偏り、寄付は続くかどうかが相手次第です。

企業の合宿は、その間にある三つ目の道だと考えています。理由は三つあります。

村合宿は、良い合宿をつくって対価をいただくビジネスです。企業にはチームのための確かな価値を、私たちMONOGATARI.は企画と調整の対価を。そして舞台が村であることで、宿泊は宿の、食事は食卓の、体験は森の仕事になる。ビジネスとして続くからこそ、村への糧も続く——そう設計しています。

囲炉裏の火

きれいごとにしないために

「地方創生に貢献できます」という言葉を、私はなるべく使いたくありません。貢献はおまけではなく、構造であるべきだと思うからです。

村合宿が約束するのは、シンプルな事実だけです。貴社がこの村で一泊すれば、宿と食卓と森の仕事が、その日ぶん確かに支えられる。そしてチームは、会議室では出なかった言葉を持ち帰る。お金は村へ、変化はチームへ。どちらかではなく、両方が起きるように設計しています。

この循環を、東京の水源・小菅村から始めます。うまくいったら、次の村へ。日本には、豊かさをそのままに、新しい糧を探している村が、まだたくさんあるからです。

村で、合宿を。——ご相談は無料です。

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山田 拓実
村合宿コンシェルジュ/MONOGATARI. 代表。企業と村の間に立ち、企画から当日の案内までを担当。